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CL-101試験

ゾルゲンスマはCL-101試験、LT-001試験、CL-303試験、CL-304試験及びCL-102試験の成績に基づき承認された。海外第Ⅰ相試験(CL-101試験)は用量反応探索試験の位置づけを兼ねているため、国内承認外用量について検討された結果についても記載した。

    2)Ⅰ型SMA患者を対象とした海外第Ⅰ相試験
    〔CL-101試験:START〕(海外データ)6, 7, 8)

    6)社内資料:Ⅰ型脊髄性筋萎縮症患者を対象とした海外第Ⅰ相試験(CL-101試験)(承認時評価資料)

    7)Mendell JR. et al.:N Engl J Med. 377(18), 1713, 2017. COI:本論文はAveXis社の資金により行われた。著者にAveXis社の社員が含まれる。

    8)Al-Zaidy SA. et al.:J Neuromuscul Dis. 6(3), 307, 2019. COI:本論文はAveXis社の資金により行われた。
    著者にAveXis社よりコンサルティング料を受領した者及び社員が含まれる。

      1. 試験概要
  • 主要目的
        臨床的な症状を発症後のⅠ型SMA患者に対するゾルゲンスマの安全性を検討する。
    副次目的
        臨床的な症状を発症後のⅠ型SMA患者に対するゾルゲンスマの有効性を検討する。
    対  象
        SMN1遺伝子の両アレル変異を有し、SMN2遺伝子のコピー数が2で、生後6か月までに臨床所見が発現し、本品の投与日に6か月以下※1のI型SMA患者15例
    ―登録基準―
    以下の基準をすべて満たす患者
    ● SMN1遺伝子の両アレル変異(欠失又は点突然変異)※2を有し、SMN2遺伝子のコピー数が2であること
    ● SMN2遺伝子に、c.859G>Cが認められないこと※3
    ● 生後6ヵ月までに臨床所見が発現し、本品の投与日に6ヵ月齢以下であること
    ● 運動能力の遅延、頭部の制御不良、肩の丸い姿勢、関節の過度移動を伴う筋緊張の低下を臨床的に有していること

    ※ 1 :最初に登録された9例は初期の治験実施計画書に基づき登録された。初期の治験実施計画書は9ヵ月齢以下の患者の登録を容認するものであったが、その後6ヵ月齢以下に改訂された。

    ※ 2 :登録された全ての患者は、SMN1遺伝子の両アレル欠失であった。

    ※ 3 :c.859G>Cを有する患者については、有しない患者に比べて臨床所見が軽度かつ少数例であることを考慮し、可能な限り均質な対象患者を本試験に登録し、本品の有効性及び安全性を評価するために除外された。

    方  法
        第Ⅰ相、単一施設、非盲検、単回投与、用量漸増試験。
        ゾルゲンスマ※4を約60分※5かけて静脈内に単回投与した。本試験では、ゾルゲンスマを用量漸増するために2つのコホート※6を設定しており、コホート1(n=3)では投与量を3.7×1013vg/kg、コホート2(n=12)では1.1×1014vg/kgとした※7。アデノ随伴ウイルス(AAV)を用いた遺伝子補充療法に対する患者の免疫反応を減弱させる目的で、ゾルゲンスマを投与する24時間前から投与後少なくとも30日目までプレドニゾロン1mg/kg/日の予防投与※8を行った。ゾルゲンスマの投与後、24ヵ月間追跡調査した。

    ※ 4 :用いられた治験製品はNationwide Children’s Hospital(NCH)が製造し、患者全員が同一ロットの製品を用いた。

    ※ 5 :最初の患者には初期の治験実施計画書に基づき30分かけて投与された。

    ※ 6 :治験実施計画書では、コホート1(6.7×1013vg/kg)、コホート2A、コホート2B(2.0×1014vg/kg)、コホート3(3.3×1014vg/kg)の4コホートで実施する計画であったが、コホート2で顕著な有効性が認められ、また肝機能検査値上昇リスクの可能性が示されたことから、コホート3の登録が中止された。なお、コホート2A及びコホート2Bは単一のコホート2として提示する。なお、上述の用量は初期開発段階での測定値である(詳細は※7参照)。

    ※ 7 :初期開発段階の定量ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)法による測定では、コホート1は6.7×1013vg/kg、コホート2は2.0×1014vg/kgであったが、より正確な液滴デジタルポリメラーゼ連鎖反応(ddPCR)法で測定したところ、それぞれ、3.7×1013vg/kg、1.1×1014vg/kgと確認された。

    ※ 8 :治験実施計画書の改訂前に登録された最初の患者にはプレドニゾロンの予防投与は行われていない。

    試験デザイン
    主要評価項目
        安全性(有害事象、臨床検査値、薬物性肝障害、バイタルサイン、心電図、身体検査及び免疫応答)
    副次評価項目
        有効性
        主要な有効性評価項目
        出生から永続的な呼吸補助が必要となる又は死亡までの期間※10
        副次的な有効性評価項目
        フィラデルフィア小児病院乳児神経筋疾患検査(Children’s Hospital of Philadelphia Infant Test of Neuromuscular Disorders Score:CHOP-INTEND)スコアのベースラインからの変化
        運動マイルストーン(頸定、座位、歩行)の達成可否(治験実施医療機関及び中央判定

    ※10:永続的な呼吸補助は、14日以上連続して16時間/日以上の呼吸補助(非侵襲的な呼吸補助を含み、可逆的な急性疾患及び周術期の呼吸補助を除く)を必要とする状態、と定義した。

    承認された【用法及び用量又は使用方法】(一部抜粋)
    通常、体重2.6kg以上の患者(2歳未満)には、1.1×1014ベクターゲノム(vg)/kgを60分かけて静脈内に単回投与する。
    探索的評価項目
        探索的な有効性評価項目
        CHOP-INTENDを用いた患者の機能的評価
        複合筋活動電位(Compound Motor Action Potential:CMAP)による機能評価
        運動単位数推定法(Motor Unit Number Estimation:MUNE)による機能評価
        成長能力が維持された患者の割合※11, 12
        人工呼吸器に頼らない状態を維持している患者の割合※11, 13  等

    ※11:臨床的に意味のある有効性評価項目と考えられたため、本評価項目はデータ解析前に追加された。

    ※12:嚥下機能検査で低濃度液体を摂取可能であることが確認され、栄養チューブによる機械的な栄養補助を受けない状態で、WHO基準で患者の年齢及び性別における第三四分位数を超える体重が維持されている患者、と定義した。

    ※13:周術期の呼吸補助を除き、急性かつ可逆性の疾患がなく、毎日の人工呼吸器の支援/使用を必要としない患者、と定義した。

    判定基準
      永続的な呼吸補助を
      必要としない生存
      出生日から「死亡」又は「永続的な呼吸補助」までの期間とした。未治療のⅠ型SMA患者の同生存期間の中央値は10.5ヵ月である5)。標準治療では、この定義に基づく患者の推定生存率は 13.6ヵ月齢で25%であり、20ヵ月齢で8%である5)
      CHOP-INTEND
      スコア
      Ⅰ型SMA患者における運動機能の状態及び障害度を特異的に評価するために開発、バリデートされたスケールである(0から64点)。4点以上の上昇が臨床的に意義のある改善とされる。自然経過研究から、Ⅰ型SMA患者は40点以上への到達が困難であると考えられた9)。他の研究でも、Ⅰ型SMA患者( SMN2遺伝子コピー数が2)では、健常乳児よりも有意に低く(3ヵ月齢時:20.2 vs 50.1)、また6ヵ月齢時から12ヵ月齢時までに平均10.71点減少したことが示されている10)
      運動マイルストーン 医療スタッフ、家族等により院内、自宅等で撮影された映像を、治験実施医療機関の理学療法士、治験責任医師及び治験分担医師の助言を基に外部委託業者が編集し、独立した外部の評価者(1名)が中央判定として評価する。なお、治験実施医療機関での評価と独立 した外部の評価者の評価が異なった場合は、両者間で協議した後に、独立した外部の評価者が評価を決定する。幼児のSMA患者での標準治療では「寝返りをする」や「支えなしで座る」などの主要な運動マイルストーンの達成が不可能であることが、自然経過研究で報告されている11)
    解析計画
        安全性の解析は、安全性解析対象集団を用いて投与後24ヵ月間にわたって評価した。有効性の解析は、 下表の解析対象集団等を用いて、全ての患者が13.6ヵ月齢時(初回評価時:主要な有効性カットオフ)、 20ヵ月齢時(中間評価時)、及び投与後24ヵ月時(最終評価時)に到達した3つの時点で評価した。主要及び副次的評価項目は全ての時点で、探索的評価項目は初回及び最終評価時で実施した。有効性の解析はコホート1及びコホート2でそれぞれ実施したが、コホート2における結果により重点を置いた。また、CHOP-INTENDスコア、患者の年齢及び入院データの事後解析も実施した。仮説検定は下表の検定法を用いて、生存では有意水準0.025、それ以外の評価項目では有意水準0.05で実施した。検定は適宜、片側又は両側を選択した。解析結果は記述統計量として示した。カテゴリー尺度は総数と割合を要約した。連続データは総数、平均値、中央値、標準偏差、最小値及び最大値を用いて要約した。パラメトリック法を使用して解析されるように指定された連続データに対して、パラメトリック法が不適切であると考えられた場合は、ノンパラメトリック法を使用した。なお、CL-101試験は第I相試験であり対照群を設定していないため、外部集団である自然経過集団との検定結果を参考値として記載した。
        解析対象集団
      安全性
      安全性解析対象集団 ゾルゲンスマ投与を受けた全ての患者
      有効性
      ITT解析対象集団 ゾルゲンスマ投与を受けた全ての患者
      最大の解析対象集団(FAS) ゾルゲンスマ投与を受けた後、1回以上の評価データがある全ての患者
      参考:外部のSMA自然経過集団※14
      PNCR自然経過集団5) 主要な有効性評価の対照集団として利用。SMA治療に高度な専門知識を持つ3つの大規模医療センター(米国)で追跡されたSMA患者データベース337例から抽出された23例で構成
      NeuroNext自然経過集団12, 13) 探索的分析において補助的に用いられる対照集団。NeuroNext自然経過試験は、臨床試験を模倣するように設計された、縦断的、多施設、前向き自然経過試験である。6ヵ月齢未満のSMA患者26例(及び対照健常乳児27例)で構成

    ITT:Intent-to Treat、FAS:Full Analysis Set、PNCR:Pediatric Neuromuscular Clinical Research、

    NeuroNext:The Network for Excellence in Neuroscience Clinical Trials

    ※14:参考として外部のSMA自然経過集団を対照とすることについては、倫理的及び科学的考察に基づいて規制当局と協議し、合意に至っている。

    承認された【用法及び用量又は使用方法】(一部抜粋)
    通常、体重2.6kg以上の患者(2歳未満)には、1.1×1014ベクターゲノム(vg)/kgを60分かけて静脈内に単回投与する。
        有効性評価項目の解析手法
      永続的な呼吸補助を
      必要としない生存率
      1標本正確二項検定を用いて、13.6ヵ月齢時及び20ヵ月齢時におけるPNCR自然経過推定生存率5)である25%(13.6ヵ月齢時)及び8%(20ヵ月齢時及び投与後24ヵ月時)と比較した。
      CHOP-INTEND
      スコア
      混合効果モデル反復測定法(MMRM)を用いて解析した。モデルにはベースライン値からの変化量に対し、コホート、来院、ベースライン、コホート×来院及びベースライン値×来院の交互作用を含め、FASを対象とした。分散共分散構造はunstructuredとし、収束しない場合にはvariance componentsを用いた。
      運動マイルストーン FASを用いてコホート別に要約した。これらは、片側正確二項検定を用いて、Ⅰ型SMAにおける未治療患者での推定達成率(0%)と比較した。
    患者背景
        人口統計学的特性及びベースライン特性安全性解析対象集団

    FAS:Full Analysis Set、NAV:Not Available

    ※15:試験開始時は9ヵ月齢以下の患者を対象としていたが、試験途中で治験実施計画書を改訂し、6ヵ月齢以下の患者を対象とすることとした。 そのため、一部の患者では投与時の年齢が6ヵ月齢を超えていた。

    承認された【用法及び用量又は使用方法】(一部抜粋)
    通常、体重2.6kg以上の患者(2歳未満)には、1.1×1014ベクターゲノム(vg)/kgを60分かけて静脈内に単回投与する。
      2. 有効性
  • (1)出生から永続的な呼吸補助が必要となる又は死亡までの期間
    1. ITT
      副次評価項目(主要な有効性評価項目)
      1. コホート2の12例中12例において、13.6ヵ月齢時、20ヵ月齢時及び投与後24ヵ月時のいずれの時点においても永続的な呼吸補助を必要とせず生存しており、PNCR自然経過集団(未治療)の生存率※1と比べ、統計的に有意な差を示した(p<0.001、1標本正確二項検定)。

    ※ 1 :PNCR自然経過での生存率は25%(13.6ヵ月齢時)、又は8%(20ヵ月齢時)である。なお、20ヵ月超のPNCRデータは利用できないため、投与後24ヵ月時は、PNCR自然経過における20ヵ月齢時の生存率と比較した。

        各評価時における永続的な呼吸補助を必要としない生存率(コホート2)

    ※ 2 :本試験は第Ⅰ相試験であり対照群を設定していないため、外部集団である自然経過集団との検定結果を参考値として記載した。

        主要有効性データカットオフである13.6ヵ月齢時点において、全例15例中15例が永続的な呼吸補助を必要とせずに生存しており、PNCR自然経過集団(未治療)の生存率と比較して、いずれも統計的に有意な差を示した(コホート1:p=0.016、コホート2:p<0.001、全例:p<0.001、1標本正確二項検定)。
        投与後13.6ヵ月齢時までの永続的な呼吸補助を必要としない生存率

    ※ 3 :1標本正確二項検定からの信頼区間。

    ※ 4 :本試験は第Ⅰ相試験であり対照群を設定していないため、外部集団である自然経過集団との検定結果を参考値として記載した。検定では、1標本正確二項検定を用いて、「SMN2遺伝子コピー数が2の患者」の自然経過での13.6ヵ月齢時の推定生存率25%と比較した。

        投与後24ヵ月の時点で、全例15例中15例が永続的な呼吸補助を必要とせずに生存していた。ゾルゲンスマで治療した患者15例の投与後24ヵ月時の月齢中央値(範囲)は全体で28.1(25.3~32.4)ヵ月齢であり、コホート1では30.7(30.6~32.4)ヵ月齢、コホート2では27.8(25.3~32.4)ヵ月齢であった。
        最後の患者が投与後24ヵ月時に達した時点の永続的な呼吸補助を必要としない生存期間※5

    ※ 5 :コホート1の1例が、本品投与後22ヵ月を経過した時点で流涎過多のために永続的な呼吸補助の基準に一時的に抵触したものの、本品投与後24ヵ月時点の評価における呼吸補助は16時間未満日であったことから、永続的な呼吸補助の基準には抵触しないと判定された。

    承認された【用法及び用量又は使用方法】(一部抜粋)
    通常、体重2.6kg以上の患者(2歳未満)には、1.1×1014ベクターゲノム(vg)/kgを60分かけて静脈内に単回投与する。
  • (2)CHOP-INTENDスコアのベースラインからの変化
    1. FAS
      副次評価項目(副次的な有効性評価項目)
      1. CHOP-INTENDスコアは、13.6ヵ月齢時、20ヵ月齢時及び投与後24ヵ月時のいずれの時点においても、全例15例中15例でベースライン時と比べて増加した。また、コホート2の12例中12例がベースライン時から4点以上増加した※6。 コホート2では、投与後1ヵ月時でベースラインから9.8点、投与後3ヵ月時で15.4点と投与初期から平均スコアが統計的に有意に上昇した(いずれもp<0.001、vs. コホート1、MMRM)。また、コホート2では、最終評価時点※7で12例中11例がCHOP-INTENDスコア40点以上を達成した※8

    ※ 6 :CHOP-INTENDスコアは、4点以上の上昇が臨床的に意義のある改善とされる。

    ※ 7 :24ヵ月の観察期間を終え、試験終了時点までにCL-101試験として収集されたデータ(規定外来院を含む)のうち、全てのスコアが評価された 最終時点の合計を記載している。

    ※ 8 :Ⅰ型SMA患者は、CHOP-INTENDスコア40点以上への到達が困難であることが自然経過研究で示されている。

        投与後24ヵ月時までの患者及びコホートごとのCHOP-INTENDスコアのベースラインからの変化
    承認された【用法及び用量又は使用方法】(一部抜粋)
    通常、体重2.6kg以上の患者(2歳未満)には、1.1×1014ベクターゲノム(vg)/kgを60分かけて静脈内に単回投与する。
  • (3)運動マイルストーン(頸定、座位、歩行)の達成可否
    1. FAS
      副次評価項目(副次的な有効性評価項目)
      1. 投与後24ヵ月時において、コホート2の12例中11例が「3秒以上支えなしに頸定を保持する」、「支えありで座る」及び「5秒以上支えなしで座る」、10例が「10秒以上支えなしで座る」、9例が「30秒以上支えなしで座る」、「寝返りをする(仰臥位から両側へ)」、2例が「補助ありで立つ」、「自力で立つ」、「補助ありで歩行する」及び「自力で歩行する」の運動マイルストーンを達成した。
        投与後24ヵ月時において運動マイルストーンを達成した患者の割合(コホート2)
        コホート1では上記の運動マイルストーンを達成した患者はいなかった。

    ※ 9 :「5秒以上、10秒以上、15秒以上又は30秒以上の支えなしで座る」を達成した患者は、「支えありで座る」の項目にも該当する。また、「30秒以上支えなしで座る」ことができる患者は、「15秒以上」、「10秒以上」及び「5秒以上支えなしで座る」の項目にも該当する〔世界保健機関(WHO)定義〕。

    ※10:Bayleyスケール(第3版)を基に評価した。

    ※11:WHO運動マイルストーンの動作基準を基に評価した。

      <参考情報>
  • (4)成長能力が維持された患者の割合
    1. Ability to Thrive ITT
      追加された探索的評価項目※12
      1. 成長能力の維持に関して、Ability to Thrive ITT Population(以下の患者、n=7)を対象に検討した。その結果、投与後24ヵ月時に成長及び発達※13を維持している患者は7例中5例であった。

    ※12:臨床的に意味のある有効性評価項目と考えられたため、本項目はデータ解析前に追加された。

    ※13:嚥下機能検査で低濃度液体を摂取可能であることが確認され、栄養チューブによる機械的な栄養補助を受けない状態で、WHO基準で患者 の年齢及び性別における第三四分位数を超える体重が維持されている患者、と定義した。

    Ability to Thrive ITT
    SMN1遺伝子の両アレル変異(欠失又は点突然変異)を認めた患者
    ● ベースライン時のCHOP-INTENDスコアが20点以上
    ● ゾルゲンスマ1.1×1014vg/kgの投与を受けた
    ● ゾルゲンスマ投与前に非経口の栄養補助を必要としない
    承認された【用法及び用量又は使用方法】(一部抜粋)
    通常、体重2.6kg以上の患者(2歳未満)には、1.1×1014ベクターゲノム(vg)/kgを60分かけて静脈内に単回投与する。
      3. 安全性
    1. 安全性解析対象集団
      主要評価項目
      1. 安全性解析対象集団15例(コホート1:3例、コホート2:12例、以下同順)のうち、有害事象は15例全例(100%)に認められた。2例以上で認められた有害事象は下表のとおりであり、うちコホート1ではトランスアミナーゼ上昇1例(33.3%)、コホート2ではトランスアミナーゼ上昇3例(25.0%)及びAST増加1例(8.3%) は、ゾルゲンスマとの因果関係が否定されなかった。
        重篤な有害事象は13例(3例、10例)に認められた。主な重篤な有害事象は肺炎(0例、7例)、上気道感染(0例、3例)、パラインフルエンザウイルス感染(1例、2例)、RSウイルス肺炎(1例、2例)、RSウイルス細気管支炎(1例、2例)、トランスアミナーゼ上昇等(1例、1例)であり、うちコホート1ではトランスアミナーゼ上昇 1例、コホート2ではトランスアミナーゼ上昇1例は、因果関係が否定されなかった。
        なお、死亡に至った有害事象は認められなかった。

    ※:16例がスクリーニングを受けたが、抗AAV9抗体が陽性であった1例が登録されなかった。

        コホート1及びコホート2の合計で2例以上に認められた有害事象


        重篤な有害事象
    【効能、効果又は性能】の設定根拠にあるSMAの早期治療の重要性に関する補足資料としてCL-101の事後解析結果を紹介する。本研究の限界として、ベースラインの疾患重症度の非類似性、複合生存評価項目の定義の非類似性、ならびに各コホートで利用された支持療法が異なることによる潜在的バイアスが挙げられる。
      4. CL-101試験の事後解析結果8)
  • (1)事後解析の目的(評価項目、方法又は解析計画)
      1. NeuroNext研究12, 13)におけるⅠ型SMA自然経過集団(以下、NeuroNext自然経過集団)※1及び健常乳児集団※2を比較対象として、I型SMAに対するゾルゲンスマ(1.1×1014vg/kg)の有効性を評価する。

    ※ 1 :NeuroNextネットワークに登録された6ヵ月齢以下の妊娠36~42週に生まれたSMA患者26例のうち、SMN2遺伝子コピー数2の患者16例のみで構成されたコホートである。

    ※ 2 :NeuroNextネットワークに登録された6ヵ月齢以下の妊娠36~42週に生まれた健常乳児27例で構成されたコホートである。

    ● 永続的な呼吸補助※3を必要としない生存率

    ゾルゲンスマ投与群(CL-101試験のコホート2、以下コホート2)、NeuroNext自然経過集団、及び健常 乳児集団の生存分析にはカプラン・マイヤー法を用いた。

    ※ 3 :永続的な呼吸補助は、14日以上連続して16時間/日以上の呼吸補助(非侵襲的な呼吸補助を含み、可逆的な急性疾患及び周術期の呼吸補助を除く)を必要とする状態、と定義した。

    ● CHOP-INTENDスコア

    コホート2とNeuroNext自然経過集団を比較した。NeuroNext自然経過集団では、3ヵ月齢ごとに評価した。NeuroNext自然経過集団との比較のために、コホート2では、毎月の来院時※4の月齢を「0ヵ月齢(~1.5月齢)」、「3ヵ月齢(1.5~4.5ヵ月齢)」、「6ヵ月齢(4.5~7.5ヵ月齢)」に分類した。

    ※ 4 :投与後7、14、21、30日時、以降投与後1年までは1ヵ月ごと、投与後2年までは3ヵ月ごとに来院した。

  • (2)永続的な呼吸補助を必要としない生存率
      1. 各コホートにおける永続的な呼吸補助を必要としない生存率は以下のとおりであった。
        永続的な呼吸補助を必要としない生存率(カプラン・マイヤー法)※5

    ※ 5 :本事後解析では、NeuroNext研究におけるⅠ型SMA自然経過集団及び健常乳児集団と比較評価しており、治験時に評価対象となったCL101試験で比較対象としたPediatric Neuromuscular Clinical Research(PNCR)における未治療のI型SMA患者の自然経過での結果〔20ヵ月齢時の生存率(8%)等〕とは異なる。

  • (3)CHOP-INTENDスコア
      1. 各コホートにおけるCHOP-INTENDスコアのベースラインからの変化は以下のとおりであった。
        CHOP-INTENDスコアのベースラインからの変化