医療費助成制度
患者さんが利用できる医療費助成制度※1について
※1 令和2年3月時点の情報をもとに作成しています。
SMA患者さんが利用できる医療費助成制度にはさまざまなものがあり、制度によって利用できる対象患者さんの基準や助成の範囲が異なります。
※2 ただし、18歳到達時点において本事業の対象になっており、かつ18歳到達後も引き続き治療が必要と認められる場合には、20歳未満の患者さんも対象となります。
監修:東京女子医科大学 臨床ゲノムセンター 齋藤 加代子 先生
各制度は、申請してから認定されるまでに時間がかかることがあります。
SMAと診断されましたら、お早めに病院のソーシャルワーカー、お住まいの都道府県または指定都市の相談窓口、市区町村の福祉事務所、役所の担当部署にご相談ください。
医療費助成制度による助成イメージ
SMAは小児慢性特定疾病に指定されています。患者さんまたはご家族が本制度へ申請し、認定されると医療費助成を受けられ、SMA治療に対する自己負担が軽減されます。
SMAと診断されましたら、治療開始前までに小児慢性特定疾病の申請を完了させることをおすすめいたします。
世帯の総所得に応じて金額が変わります。
また、加入している医療保険(健康保険組合など)によっては、独自に定めている「付加給付」により、自己負担額がさらに少なくなる場合があります。
出典:社会保険診療報酬支払基金 難病法による特定医療・小児慢性に係る計算事例(平成27年1月)より作図
小児慢性特定疾病の医療費助成制度
SMAは小児慢性特定疾病の対象疾病です。
特定疾病医療機関においてかかるSMAの治療費が助成の対象となります。
<概要>
小児の慢性疾患のうち、特定の疾患については、治療期間が長く、医療費の負担が高額となります。小児慢性特定疾病対策は、疾患の治療方法の確立と普及、患者さんおよびご家族の医療費負担軽減につながるよう、医療費の自己負担分を補助するものです。
ただし、18歳到達後も引き続き治療が必要と認められる場合には、20歳未満の方も対象になることがあります。
※①高額な医療が長期的に継続する方(医療費が5万円/月を超える月が年間6回以上ある場合)、または②重症患者基準に適合する方。
問い合わせ窓口
お住まいの都道府県、指定都市、または中核市の窓口(保健福祉担当課や保健所など)
手続きの流れ
※1 指定小児慢性特定医療機関において行われた保険診療に関してのみ医療費助成の対象となります。各自治体から指定小児慢性特定疾病医療機関が公表されています。
※2 医療意見書の記載は小児慢性特定疾病指定医のみが行えます。各自治体から小児慢性特定疾病指定医が公表されています。
※3 医療意見書の発行に時間を要する場合は、他の必要書類を準備の上、先に自治体窓口へ申請の相談を行ってください。必要書類は自治体ごとに異なる場合がありますので、詳細は自治体窓口にご確認ください。
※4 小児慢性特定疾病対策は、お住まいの地域によって担当となる自治体が異なります。指定都市、中核市にお住まいの場合には各市の担当窓口へ、その他の地域の場合には、都道府県の担当窓口へご相談ください。
高額療養費制度
病院や薬局の窓口で支払った額(入院時の食費や差額ベッド代は含みません)が上限額を超えたときに、超えた金額を払い戻すことができる制度です。高額な治療を受けることがあらかじめわかっている場合、事前の手続きを行うことで、窓口での支払いを自己負担限度額までにすることができます。
<概要>
高額療養費制度は公的医療保険における制度の1つで、医療費の自己負担が重くなり過ぎないように医療費の自己負担額に一定の歯止めを設ける制度です。具体的には医療機関や薬局の窓口で支払った額が、暦月(月の初めから終わりまで)で一定額を超えた場合に、その超えた金額が支給されます。
注 1つの医療機関などでの自己負担(院外処方代を含む)では上限額を超えないときでも、同じ月の別の医療機関などでの自己負担(69歳以下の場合は2万1千円以上であることが必要)を合算することができます。この合算額が上限額を超えれば、高額療養費の支給対象となります。
問い合わせ窓口
ご加入の医療保険の相談窓口
手続きの流れ
下記の2つの方法があります。
①窓口での支払いを自己負担限度額以内にする場合
医療費が高額になることが事前にわかっている場合には、あらかじめ医療保険(健康保険組合など)へ「限度額適用認定証」の手続きを行い、病院や薬局の窓口で提示すると、窓口での支払いが自己負担限度額までになります。
指定難病の医療費助成制度
SMAは指定難病の対象疾病です。
症状が一定以上、または高額な医療費を支払っている場合に医療費が助成されます。
<概要>
「難病の患者に対する医療等に関する法律」(平成26年法律第50号)に基づき指定される指定難病について、治療方法の確立などにつながるように、難病患者データの収集を効率的に行い、治療研究を推進することに加え、効果的な治療方法が確立されるまでの間、長期の療養による医療費の経済的な負担が大きい患者さんを支援する制度です。
※ 医療費総額が5万円/月を超える月が年間6回以上あること(たとえば医療保険の2割負担の場合、医療費の自己負担が1万円を超える月が年間6回以上)。
問い合わせ窓口
お住まいの都道府県、指定都市の相談窓口(保健所など)
手続きの流れ
乳幼児・こども医療費助成制度
<概要>
子育て世代への経済的負担の軽減を図る目的で各自治体により制定・運用されています。住んでいる地域によって制度を利用できる対象年齢、一部自己負担の有無、所得制限の有無、通院・入院の区分などの条件や、自己負担額が異なります。
問い合わせ窓口
お住まいの市区町村役所の担当部署
重度心身障害者医療費助成
<概要>
心身に障害がある方の医療費を助成します。
住んでいる地域によって対象となる障害の程度や、助成の内容も異なりますが、身体障害者手帳1級・2級をお持ちの方が対象となっている場合が多いようです。
問い合わせ窓口
お住まいの市区町村役所の担当部署
自立支援医療制度
<概要>
心身の障害を除去・軽減するための医療費の自己負担額を軽減する公費負担医療制度です。SMAで背骨が変形してしまった際に背骨を固定する手術費などが申請できます。
育成医療(18歳未満)
身体に障害を有する児童で、その障害を除去・軽減する手術などの治療により確実に効果が期待できる方
更生医療(18歳以上)
身体障害者手帳を持ち、その障害を除去・軽減する手術などの治療により確実に効果が期待できる方
●自己負担金
自己負担割合は1割。所得に応じて上限額があります。
問い合わせ窓口
お住まいの市区町村役所の担当部署
その他サポート制度
月額自己負担上限額に関する特別措置(按分)
同じ世帯(同じ医療保険に加入している方)に小児慢性特定疾病または指定難病の医療費助成を受けている方が複数いる場合は、自己負担額が世帯単位で按分され、自己負担上限額が個人でなく世帯単位になり、世帯で最も高い患者さんの負担上限額が世帯の総額になります。
※ 自己負担額の計算方法
各患者の負担上限額=
患者本人の負担上限額 ×(世帯で最も高い患者の負担上限額÷世帯における負担上限額の総額)
世帯合算
同じ世帯(同じ医療保険に加入している方)で医療費を合算できる制度。1ヵ月の自己負担額が21,000円(家族全員が69歳以下)を超えた方が家族の中に複数いる場合は、医療費を合算して高額療養費制度を利用することができます。
高額療養費貸付制度
医療費の支払いが困難なときなどに無利息の「高額療養費貸付制度」を利用できる場合があります。
制度の利用ができるか、貸付金がどのくらいになるかは加入している医療保険によって異なるので、加入している医療保険窓口にお問い合わせください。
医療費控除
1年間で同じ世帯(生計を1つにする配偶者やその他の親族)で支払った医療費が一定額※1を超えている場合は、医療費控除を受けることができます。
※1 年間10万円が目安。ただし、総所得金額などによって10万円以下でも控除を受けることができる。
※2 その年の総所得金額が200万円未満の場合は総所得金額の5%。